胃癌に対する手術療法(腹腔鏡)、(開胸)

1.胃がん治療のガイドラインについて

このガイドラインは2001年3月に日本胃癌学会により制定され、それぞれの進行度に合わせて、適切な治療法が示されています。胃がんに対する治療法は内視鏡治療、手術療法(腹腔鏡、開腹)、抗がん剤療法に分類されます。

2.手術の適応

手術療法は早期胃がん(がんの浸潤が胃壁の粘膜下層までにとどまるもの)の中で、リンパ節転移の可能性のあるもの、あるいは進行胃がん(がんの浸潤が固有筋層よりも深いもの)で、がんを残さずに切除しうるものを対象としています。

3.手術術式

胃の切除範囲により幽門側胃切除術(胃の下側を切除する)、噴門側胃切除術(胃の上側を切除する)、胃全摘術(胃を全部切除する)に分類されます。また、リンパ節郭清(リンパ節を摘出すること)の範囲により、縮小手術、定型手術、拡大手術に分類されます。

基本は定型手術で、第2群リンパ節までのリンパ節郭清を伴う手術を指し、それよりも、小さな範囲での郭清を伴う場合を縮小手術、大きな範囲での郭清を伴う場合を拡大手術と呼びます。腹腔内や遠隔臓器へ明らかに転移している場合には手術療法ではなく、抗がん剤療法が選択されます。

4.ガイドラインに基づいた手術術式の選択

1)術前診断でリンパ節転移がなく、粘膜固有層までの浸潤で組織型が低分化型、大きさ20mm以上あるいは粘膜下層までの浸潤が疑われる:縮小手術
2)術前診断で胃周囲リンパ節転移があり、粘膜下層までの浸潤で大きさ20mm以下:縮小手術
3)術前診断で胃周囲リンパ節転移があり、粘膜下層までの浸潤で大きさ20mm以上:定型手術
4)早期胃がんでリンパ節転移が第2群まであると疑われる:定型手術
5)進行胃がんで周囲臓器への浸潤がない場合:定型手術
6)進行胃がんで周囲臓器へ直接浸潤している場合:拡大手術

従来、手術療法は約20〜30cm程度の開腹創を置いて行われていました。しかし、手術器具の発達や手技の進歩により、小さな創から電子内視鏡や手術器具を挿入して行う腹腔鏡手術が行われるようになってきました。一般に、腹腔鏡手術は転移の可能性の低い縮小手術に適応があるとされております。

腹腔鏡手術の利点は創が小さいだけでなく、出血量が少ない、腸管の動きの回復が早いなどがあげられます。とくに、腹腔鏡補助下幽門側胃切除術は広く行われており、その有用性が広く認められております。しかし、腹腔鏡補助下噴門側胃切除術あるいは胃全摘術はさらに、高度な技術を要するために、これから改善しなければならない問題点もあります。

一方、進行胃がんは、腹膜播種といった腹腔内にがん細胞が散らばっていく広がり方を示すことが多いので、開腹術により視診、触診、さらには洗浄細胞診(がん細胞が目にみえない程度で腹腔内に散らばっていないかどうかを確認する方法)などを駆使して、適切な手術を行うことが重要です。

胃癌に対する手術療法(腹腔鏡)、(開胸)に関連する消化器NOWの記事

   関連する記事はありません。