食道癌に対する手術療法(胸腔鏡)、(開胸)

1.外科手術の対象となる食道癌とは

がんの浸潤(深さ)が,比較的浅い粘膜下層から外膜(食道をおおっている1番外側の膜)までにとどまっているものに,外科治療を行います.がんが外膜を超えて気管や大動脈に進んでしまったり,肺や肝臓など他臓器に転移しているものは,放射線や化学療法(抗癌剤)の治療を行います.また,がんが粘膜にとどまっていてリンパ節転移のない早期がんで,内視鏡治療の適応症例でも,病変の範囲が広かったりすると手術を行う事があります.

2.手術手技

食道がんの手術は、頸・胸・腹部に及ぶため,外科手術の中でも最も大きな手術の一つです.手術の方法は,開胸・開腹手術と鏡視下手術があります.

 開胸手術:胸部操作では食道を取り出すために,右胸を20〜30cm切開し肋骨を切り離します.腹部操作では取った食道のかわりをする胃管(胃を切って細長くしたもの)を作ります.そして頸部操作で首の食道と胃管をつなぎます.頸・胸・腹部の操作ではそれぞれリンパ節郭清も行います.(以下、削除;手術時間は6〜7時間です。)

 鏡視下手術:内視鏡を胸や腹の中に入れてモニターを見ながら手術する方法です.胸部操作では内視鏡や手術機械を入れる1〜2cmの穴を4〜5カ所開けて行います.開胸手術が大きく切開するのに対して,傷が小さいので美容上すぐれているだけでなく,肋骨も切らずにすむので術後の痛みが軽くてすみます.また身体にかかる負担が少ないといわれており,早期に社会復帰が可能ともいわれています.しかし,肺と周囲組織がくっついていたり(胸膜癒着)かなり進行したがんでは,鏡視下手術(胸腔鏡手術)ができないことがあります.食道癌に対する胸腔鏡手術は,1992年に世界ではじめて行われ,日本では1996年から始まった比較的新しい治療方法であるため,すべての施設でこの治療が受けられるとは限らず,施設によっても技術的な差があるのが現状です.(以下、削除;手術時間は7〜8時間です。)

3.合併症

手術に伴う合併症として,声帯の動きを調節している神経がマヒして声がかすれてしまう反回神経マヒや,消化管を縫い合わせたところがほころぶ縫合不全があります.また,胸に手術操作が及ぶため肺炎をおこしやすくなります.その他,術後出血などがあります.

4.治療成績

 経験の多い施設では60%以上の方が完治するようになりました. 手術のために死亡される可能性も1%未満です。順調に経過すれば、術後3週間くらいで退院できます。

5.補助療法

症例によっては,食道癌の手術に加えて,抗癌剤治療(化学療法ともいいます)を行う事もあります.治療の主体はあくまで手術ですが,化学療法を加える事により,治療成績が良くなることが証明されています.この補助療法には,手術の前に行う方法と,手術が終わったあとに行う方法があります.

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