潰瘍性大腸炎

1.潰瘍性大腸炎とは

 潰瘍性大腸炎は大腸に慢性の炎症がおきて潰瘍やびらん(ただれ)ができる病気で、下痢、血便、粘液と血液の混じった便(粘血便)、腹痛などの症状がみられます。ひどくなると一日に10回以上も粘血便や血便がでるようになります。これらの症状は、良くなったり(緩解)、悪くなったり(再燃)を繰り返します。病変は肛門にいちばん近い直腸から連続性に、奥のほうに広がっていく性質があり、直腸だけに炎症がある方から、大腸全体に炎症が広がる方までさまざまです。

基本的には良性の病気で、ほとんどの方は適切な内科的治療により普通の生活が送れるようになります。病気の経過中に、中毒性巨大結腸症(腸管が広がってしまう)、穿孔(腸の壁に孔があく)、がんなどの腸管合併症や皮膚や眼、関節などの腸管以外の合併症をおこすことがあり、合併症のために手術が必要になることもあります。

 わが国では1973年に当時の厚生省によって調査研究班が発足し、この病気の診断・治療方法の研究が継続的に進められています。わが国の潰瘍性大腸炎の患者数は、96,221人(2006年度特定疾患登録件数)と報告されており、患者数は徐々に増加していますが、欧米に比べると10分の1から5分の1の頻度です。どの年齢層でも発病する可能性がありますが、比較的20歳代の若い人に発病することが多い病気です。

2.原因

この病気がなぜ発症するかは、正確にはまだわかっていません。以前は細菌やウイルスなどの感染が原因だとする説、牛乳などの食物によるアレルギーによる疾患だという説などがありました。しかし、現在では、(1)遺伝的な要因、(2)食べ物や腸内細菌、化学薬品などの環境因子、(3)免疫の異常の3つが重なり合って発症すると考えられています。食生活の欧米化もこの病気が増加している要因のひとつと考えられています。

3.診断

この病気のほとんどの患者さんは(粘)血便や、血性下痢をおこして病院を訪れます。診断は、まず症状とその経過や過去の病歴などの質問に答えていただく問診から始まります。便潜血検査や炎症反応を知るための血液検査などが行われ、さらに大腸のより詳しい状態を知るために大腸内視鏡検査または注腸X線検査などの検査が行われ、これらの検査結果から総合的に診断されます。

4.治療

治療の原則は、炎症の強いときには、炎症を抑え免疫異常を是正する5-アミノサリチル酸製剤、ステロイドなどの薬剤を用いて、炎症をすみやかに治めます。大事なのは、その後の再燃を防ぐことです。そのためには、精神的・身体的ストレスを避けること、また、脂っこい食物や香辛料・アルコールなどの刺激物を控え、十分な睡眠をとり、疲れをためないことも重要です。再燃しやすい場合やステロイドなどで炎症が抑えられない場合には、免疫調節剤を用いたり血球成分除去療法(体外循環治療の一種)が行われます。多くの患者さんでは、これらの治療法で症状が消失して緩解しますが、これらの治療法で効果がない場合や、重い合併症が生じた場合には手術が選択されることもあります。

 この病気では発病して8年以上経過し、しかも炎症が広範囲およぶ全大腸炎型に大腸がんができやすいといわれています。定期的な検査を受けることでがんを早期発見できることが報告されていますので、長期に経過されている患者さんは内視鏡検査を定期的に受けることが重要です。

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