大腸癌に対する抗がん化学療法

1.化学療法の適応

以前は大腸癌の化学療法の効果は低いものでしたが,近年,抗がん剤およびその組み合わせ方法や投与方法が著しく進歩し,腫瘍の縮小や生存期間の延長が示されています.最近は副作用の少ない抗がん剤投与方法の開発や副作用対策によって,外来通院でも化学療法が受けられるようになってきています.

大腸癌治療の第一選択は内視鏡的または外科的な病巣切除ですが,手術が困難な進行した癌や手術後に再発した癌に対して,癌の縮小や病状のコントロールを目的に全身化学療法が行われます.また,手術後に遺残・再発が疑われる癌に対しても,再発抑制を目的に補助化学療法が行われます.

2.手術困難や再発大腸癌に対する化学療法

抗がん剤の副作用の観点から,全身状態が比較的保たれている患者さん(Performance Status 2より良好,図1)が対象とされます.従来から使用されているフルオロウラシル(5-FU)やロイコボリンという薬剤に加え,オキサリプラチンあるいはイリノテカンという新規薬剤を組み合わせた併用療法(FOLFOX,FOLFORI療法と言われています)が一般的に行われています.

また欧米では,癌細胞だけが持つ増殖や転移に関わる分子を標的とし,正常細胞が傷つけられることが少ないとされる分子標的治療薬も日常的に併用されており,有効な成績が示されています.日本ではベバシズマブという分子標的治療薬が保険適応となりました.今後は上記併用療法と分子標的治療薬を効果的に併用していく治療が標準になると考えられています.

化学療法の成績は各々の患者さんで異なりますが,初回治療の患者さんの約半数で治療効果が認められます.また,患者さんによっては化学療法によって手術困難な大腸癌が縮小し,切除が可能になることもあります.副作用としては,薬剤によっても異なりますが,骨髄抑制,悪心・嘔吐などの消化器症状,末梢神経障害などがあります.

3.手術後に遺残・再発が疑われる大腸癌に対する補助化学療法

手術により大腸癌を切除できても,リンパ節転移が確認された場合には再発率が高いことが知られており,リンパ節転移が確認された患者さんが対象となります.また,有用性はまだ示されていませんが,癌の悪性度が高いと判断された症例も対象となることがあります.

術後一定期間の5-FUとロイコボリン併用療法が標準治療とされています.また,経口抗がん剤による化学療法もそれと同等の効果が報告されており,経口抗がん剤も日常的に使用されています.

これらの補助化学療法によって再発抑制効果と生存期間の延長が示されており,今後,新規薬剤や抗がん剤の組み合わせ方法などによって治療成績のさらなる向上が期待されています.

 

Grade Performance Status
0 無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく、発病前と同様にふるまえる。
1 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行、軽労働、座業は行うことができる。(例えば軽い家事,事務など)
2 歩行や身の回りのことはできるが、作業はできない。
日中の50%以上はベッド外で過ごしている。
3 限られた身の回りのことしかできない。
日中の50%以上をベッド上で過ごしている。
4 身の回りのことは全くできない。
終日ベッド上で過ごしている。


 Performance Status (全身状態の指標)

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