門脈圧亢進症

門脈圧亢進症とは、様々な原因によって門脈の圧が異常に上昇して(200mmH2O以上)、いろいろな症状が出る病態です。流れの悪くなる部位によって、肝前性、肝内性、肝後性閉塞の3種類に分けられます(表)。

原因は大部分が肝硬変ですが、その他に、特発性門脈圧亢進症、肝外門脈閉塞症、Budd-Chiari症候群などの希な病気もあります。肝硬変は、長年の炎症(慢性肝炎)により肝細胞の壊死と再生が繰り返され、線維成分が増生(線維化)して肝臓が硬くでこぼこになった病態で、再生結節による肝静脈枝の圧迫、肝萎縮に伴う血管構築の改変、血管床全体の減少、肝動脈血流の増加、動脈と門脈の間の短絡などが門脈圧の上昇をもたらします。

門脈圧亢進が長く続くと、様々な症状が出ます。

1)  食道・胃静脈瘤:門脈の圧が高くなると、血液は別の流れ道を探すことになり、側副血行路が作られます。その代表が食道・胃静脈瘤で、食道の下部、胃の上部にある静脈が数珠のように大きく腫れ、時に破れて大出血を起こすことがあります。側副血行路としては、その他に臍の周りの皮下静脈の怒張、痔静脈の張れなども見られます。

2)  脾臓腫大:脾臓からの血液は門脈へ流れますが、圧が上がり流れにくくなると、脾臓が腫れ、それに伴い血液の成分である赤血球、白血球、血小板が破壊され、貧血、易感染性、出血傾向などの症状が出ます。

3)  腹水:門脈圧の上昇は、毛細管圧の上昇につながり、肝臓の表面や肝外門脈枝から水分が漏出しお腹の中にたまって腹水となります。腹水の量が増えると、お腹が張って苦しくなったり、栄養分の喪失などが起こります。

4)  肝性脳症:門脈から下大静脈へ通常と異なる血流が増えて、本来肝臓で代謝されるべきアンモニアなど神経障害物質が脳へ流れ込むことによって意識障害が発生することがあります。

5)  胃腸症:胃腸の粘膜層あるいは粘膜下層の血管が拡張し、粘膜の浮腫や易出血性などが見られます。

 

門脈圧亢進症の治療は、原因疾患の治療に加えて、上記の症状に対する治療を行います。食道・胃静脈瘤破裂に対しては内視鏡を使っての止血、薬物治療などが行われ、出血予防治療として内視鏡を用いて静脈瘤に薬剤を注入する治療(内視鏡的静脈流硬化療法)、静脈瘤をしばる治療(内視鏡的静脈瘤結紮術)などが行われます。手術治療もありますが、最近では行われることは少なくなっています。胃静脈瘤では血管造影の技術を用いた塞栓術治療が行われます。

 表:門脈圧亢進症の分類とその特徴

分  類 肝前性 肝内性 肝後性
類洞前性 類洞後性
原因疾患 原因疾患 肝外門脈塞症 特発性門脈圧亢進症
日本住血吸虫症
肝硬変
門脈圧
閉塞肝静脈圧
↑ ↑
正  常
↑ ↑
正  常
↑ ↑
↑ ↑
↑ 〜 ↑ ↑
食道静脈瘤
腹  水


多くは−
+〜++
−〜+
+〜++

出典:内科学 第9版、朝倉書店、p.939<表9−5>


門脈圧亢進症に関連する消化器NOWの記事

   関連する記事はありません。