薬物性肝障害

薬物性肝障害は投与された薬剤の副作用として肝臓が障害を受けるもので、抗生物質、解熱・鎮痛薬、中枢神経作用薬、抗がん剤などによるものが多く見られますが、すべての薬剤が原因となりえます(表)。通常、薬と認識しないもの、たとえば、漢方薬、民間療法薬、健康食品なども原因となることがあり、注意が必要です。

急性型と慢性型、中毒性とアレルギー性に分けられ、一般に急性、アレルギー性の肝障害が多く見られます。中毒性肝障害は薬物自体による障害で、すべての人に発生する可能性があり、障害の強さは薬の量に依存します。アレルギー性は、薬物に対する体の反応が原因で起きるもので、特定の人に生じ、前もって予測することが困難です。

臨床像から、肝細胞障害型、胆汁うっ滞型、混合型の3種に分類されます。肝細胞障害型では倦怠感、食欲不振、悪心など急性ウイルス性肝炎に似た症状が出ます。アレルギー性では発熱、発疹、関節痛などが見られます。時には、非常に重症な場合があり、劇症肝炎となって死に至ることもあります。胆汁うっ滞型では、皮膚のかゆみ、黄疸などが見られます。薬剤の障害が長期にわたる慢性型では、自己免疫性肝炎と似た病態を呈するものがあり、また、ごく一部の薬剤ではありますが肝がんなどの腫瘍が発生することがあります。

薬剤性肝障害の診断は、薬剤の服用歴を注意深く聴取して、血液検査でウイルス性肝炎でないことを確認し、リンパ球刺激試験などによって原因薬剤を推定します。治療は、原因薬剤の中止が第一で、その他症状に応じて必要な治療を行います。投薬中止後、肝機能が改善することは診断の助けになります。多くは、原因となる薬剤の中止で症状は改善し、その後の予後は良好です。しかし、まれに、肝臓の障害が非常に強く劇症肝炎となることがあり、集中治療室での治療、さらに肝臓移植が必要になることがあります。

表:薬剤性肝障害の分類と代表的な起因薬剤

病  型 起因薬剤
?.急性薬剤性肝障害  
 1.肝細胞障害型  
  小葉中心帯壊死 アセトアミノフェン,ハロセン,フルコナゾール
  脂肪肝 テトラサイクリン,パルプロ酸
 2.胆汁うっ帯型 アモキシシリン,エストロゲン,エリスロマイシン,
クロルプロマジン,蛋白同化ホルモン
 3.混合型 アロプリノール,キニジン,フェニトイン
?.慢性薬剤性肝障害  
 慢性活動性肝炎 イソニアジド,メチルドーパ
 胆汁性肝硬変 クロルプロマジン
 肝繊維症 ビタミンA,メソトレキセート
 肝血管性病変 経口避妊薬,蛋白同化ホルモン
 肝腫瘍 経口避妊薬,タキモシフェン,男性ホルモン,
蛋白同化ホルモン

出典:山田貞子 他著、臨牀消化器内科、vol.17 No.7 2002、p.106<表3>


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