肝移植術

1.肝移植の歴史

急性あるいは慢性の肝機能不全に対する治療法として、その病的な肝臓を摘出し、別の肝臓に置き換えることをいい、現時点では、唯一の確立した治療法です。その歴史は、1963年に、米国のコロラド大学のスターツル教授によって施行されたのが最初ですが、当初はその成績は不良でしたが、1970年代後半より有効な免疫抑制剤の開発と技術的改良が相俟って、その成績は飛躍的に向上しました。

2.肝移植の種類

肝移植は臓器提供者(ドナー)の違いにより、脳死肝移植と生体肝移植に分けられます。

脳死肝移植は、脳の機能が非可逆的に損傷され、回復が望めない脳死状態(心臓は拍動している)の患者をドナーとして、肝を摘出し移植を施行する場合で、生体肝移植は生きている健康な人をドナーとして、その肝臓の一部を取り出して移植を施行する場合です。後者のドナーは、御本人の自発的な自由意志で肝の提供を希望されることが前提条件で、親族に限られています。ドナーからは肝臓全体のおよそ1/5から3/5を取り出しますが(小児の場合は左外側区域、成人の場合は右葉が多い)、残った肝臓は自然に再生して、およそ3ヶ月で元の大きさに戻るとされています。

世界的には肝移植のほとんどを脳死肝移植が占めますが、脳死問題が長らく解決しなかったわが国では(1997年6月に臓器移植法が成立)、生体肝移植が99%以上を占めるという特殊な状況が続いています(日本肝移植研究会の全国集計から、わが国の2005年までの生体肝移植総数は3783例に対し、脳死肝移植総数は33例)。

3.対象疾患

肝移植の対象となる病気としては、肝移植は元来、他に治療法のない末期の肝臓病に対する救命手段として開発されましたが、成功率が高くなるにつれ、その対象となる病気は増えてきました。現在、小児(18歳未満)では、胆道閉鎖症、肝硬変、アラジール症候群、代謝性肝疾患、劇症肝炎など、成人(18歳以上)では、肝硬変(B型、C型)、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、肝細胞癌、代謝性肝疾患、劇症肝炎などが主な対象となっています。その小児:成人の比率は2005年の統計ではおよそ1:4となっています。

4.治療成績

その成績は、わが国の2005年までの集計結果によると(生体肝移植総数3783)、その生存率は、1年81.7%、3年77.9%、5年76.1%、10年72.3%、15年72.3%となっており、これらの成績は脳死肝移植が主体の欧米の成績とほぼ同等の数値を示しています。また、一般的に小児の方が成人よりも成績が良好なこと、ドナーと患者の血液型が一致した方が成績が良好なことなどがわかっています。

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