English

健康情報誌「消化器のひろば」No.11

健康情報誌「消化器のひろば」No.11

知っておきたい治療薬 便秘薬

便秘薬

便秘は様々な原因で起こります。便秘は女性に多い病気と思われがちですが高齢者に多く、高齢になると男性でもよく認められます。慢性便秘は生活の質を低下させ、様々な病気を合併するためしっかり治療することが必要です。近年効果の高い新薬が登場して選択肢が広がりました。しかし間違った使い方をしている患者さんが多いようです。さらにたかが便秘と考えていると実は大腸がんなどの病気が隠れていたなんてこともありますので、新たに便秘になった方は医療機関でしっかり検査しましょう。

便秘薬

便秘薬の使い方の基本

 便秘薬には大きく分けて刺激性下剤と緩下剤の2種類があります。緩下剤は適切な量を毎日使い、それでも効かないときに頓用で刺激性下剤を使うという使い方が基本になります。

刺激性下剤

 主にセンナ、ダイオウを含んだ非常に強力な下剤ですが、習慣性や依存性〈癖になる〉があり、さらに毎日使っていると効きが弱くなってきます。また、便意が低下したり大腸メラノーシスを起こすことも問題です。この薬の使い方の基本は必要な時にオンデマンド(頓用)で使うことです。たとえば旅行などで一時的に便秘になったとか、排便が2~3日ないときに使うなどです。このような使い方をすれば癖にはならないし、よく効きます。毎日漫然と使うことは決してしないでください。

緩下剤

① 酸化マグネシウム
 安価で効果が高いことでよく使われる緩下剤ですが、副作用として高マグネシウム血症を起こすことがあります。必ず1日2グラム以下に抑えて服用することに加え、腎機能が悪かったり、高齢の方は減量して使います。定期的な血液検査で血清マグネシウム濃度をチェックして安全を確認しながら使います。

② ルビプロストン
 最近登場した新薬で臨床治験を行っており効果が高いお薬です。小腸で腸液の分泌を促し、便を軟らかくして自然な排便を促します。酸化マグネシウムのような電解質異常がなく高齢者や腎機能の悪い方でも安心して使えます。また習慣性や依存性もありません。ただし妊婦さんには使えません。服薬初期に吐き気の副作用がでることがありますので、少量から始めれば徐々に慣れてきます。また食後すぐの服用で抑えることができます。

③ リナクロチド
 便秘型過敏性腸症候群の治療薬として登場した新薬です。腹痛を伴う便秘症の患者さんに効果があります。便秘の改善に加え、便秘に伴う腹部膨満や腹痛を改善することが期待されます。主な副作用は下痢ですので飲む量を調節することで対処できます。

漢方薬

 効き目の弱いものから強いものまで多くの種類の漢方薬がわが国では使えます。また便秘による腹痛や腹部膨満感をとる効果のある漢方薬など多くの種類があります。患者さんの症状に応じて使い分けることで高い効果が期待されます。

浣腸

 浣腸はお尻の近くまで便が来て溜まっているときに排便を促すのには非常に有効です。浣腸のくだをお尻に入れるときにゼリーなどを塗布して愛護的に肛門を扱う注意が必要です。

便秘治療の基本

横浜市立大学大学院医学研究科
肝胆膵 消化器病学教室 主任教授

中島 淳

横浜市立大学大学院医学研究科 肝胆膵 消化器病学教室 主任教授 中島 淳近影

ページトップへ