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健康情報誌「消化器のひろば」No.12

健康情報誌「消化器のひろば」No.12

気になる消化器病 アニサキスを含む寄生虫

我々の体を脅かす寄生虫には、たくさんの種類があります。お刺身やお寿司のように生の魚介類を食べることの多い日本人には、特に注意が必要です。多くは下痢や腹痛といった症状ですが、神経障害や失明といった、重篤な症状が引き起こされる場合もあります。

腹痛

 我々日本人は、世界有数の魚食民族です。日本には、お刺身やお寿司など、新鮮な生の魚介類を使った料理がたくさんあります。 とれたての魚は、とても美味しく、私は、日本人に生まれて良かった! とつくづく思います。魚介類は、言うまでもなく鮮度が命です。でも鮮度が抜群であれば安全なのでしょうか? 実はそうとは限りません、鮮度が良いのとは裏腹に、寄生虫が潜んでいる可能性もあるのです。

 最近、よく耳にするのがアニサキスです(図)。アニサキスは、イカやサバ、タラなどに寄生しています。

 この虫はとてもしぶとく、酢でしめたぐらいではなかなか死にません。ですから、胃酸の存在する胃の中でもしばらく平気で生きています。彼らは、胃や腸の壁に刺さり込み、何とか外に出ようともがきます。食べた側(人間)も大変です。食後数時間で、猛烈な腹痛に襲われます。大抵は、胃の中で発見されますが、時には小腸や大腸に入り込み、腹膜炎を起こし腸閉塞になってしまうこともあります。

 内視鏡で取り除くのが一番良い方法ですが、内視鏡が届きにくい小腸では、時には手術に至ってしまうことも少なくありません。

 他にも、広節裂頭条虫(俗に言うサナダムシ。サケやマスなどに寄生、お尻から、長いきしめんのような虫体が出てくる。栄養障害の原因となることがある)、横川吸虫(アユやシラウオなどに寄生、症状は軽いとされるが下痢や腹痛の原因となる)、日本顎口虫(ドジョウ、ライギョ、ウグイなどに寄生、脳や眼球に入ると神経障害や失明に至る)、新しいものではナナホシクドアKudoa septempunctata (ヒラメに寄生、一過性の下痢、腹痛の原因になることがある)などなど、あげればきりがありません。

 予防は、君子危うきに近寄らず!です。第一に生ものを食べないこと!ですが、十分加熱したものであれば、寄生虫は生きられないので安全に食べることができるでしょう。加熱しない手段としては、冷凍も有効であるとされています。

 アニサキスであれば、−20℃以下、24時間以上で100% 死滅します。しかし、顎口虫などは、−20℃以下で5日以上とされていますので注意が必要です。

 以上、寄生虫について解説しましたが、下痢や腹痛といった症状は、寄生虫でなくても起こりえますので、おかしいと思ったらぜひ消化器科の医師に相談しましょう。

図 胃の壁に刺さり込んだアニサキス

小樽掖済会病院
副院長

勝木 伸一

小樽掖済会病院 副院長 勝木 伸一

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