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健康情報誌「消化器のひろば」No.12

健康情報誌「消化器のひろば」No.12

知っておきたい治療薬 免疫チェックポイント阻害薬

免疫チェックポイント阻害薬

チェックポイントとは、通常国境や施設に入るための検問所のことをいいます。免疫反応において、主役のT細胞が、がん細胞を攻撃対象かどうかを判断する仕組みが解明され、その判断部位を検問所にたとえたものであり、そこを阻害するお薬が免疫チェックポイント阻害薬と呼ばれるようになったと考えられます。

免疫チェックポイント阻害薬

① 免疫チェックポイント阻害薬とは?

 がんの治療には大きく分けて、手術療法、放射線療法、化学療法の3つの柱があります。今回のテーマとなる免疫チェックポイント阻害薬の登場により、免疫療法が第4の柱として脚光をあびるようになってきま した。手術療法は、がんだけを切り取ってしまう治療ですが、放射線療法や化学療法は体内のがんに攻撃を加え小さくするのと同時に正常細胞にもその攻撃が及んでしまうため、それが副作用として出現します。体外から病原菌が侵入すると、それを排除するために、体内で様々な仕組みが動き出します。この防御反応を「免疫」というわけですが、がんが生じたときにも、やはり免疫が活動します。これを利用するのが免疫療法です。今までの研究から、私たちの体は免疫が高まり過ぎると自らの正常な細胞まで攻撃してしまうので、免疫チェックポイントという免疫監視機構により、免疫細胞にブレーキをかけてバランスを取ることが知られていました。そんな中、最近の研究において、がん細胞はその仕組みを逆手にとって、自分を攻撃に来たT細胞に対して、攻撃をやめるようにブレーキをかける機能(これを免疫逃避といいます)を持っていることが解明されました。このブレーキをかけようとする命令は、T細胞の表面にあるPD-1と呼ばれる蛋白を通じて伝達することが発見され、この命令をPD-1部分で遮ることにより再び免疫によってがんを攻撃させる薬剤が、免疫チェックポイント阻害薬という新しいお薬というわけです。最初に悪性黒色腫に対して承認され、その後各国で様々な臨床試験を経て、一部の肺がん、腎がんなどにも適応が拡大されてきましたが、消化器においては、2017年9月に世界に先駆けて我が国においてニボルマブというお薬が化学療法に不応の胃がんに対して承認されました。

② 副作用

 今までの抗がん剤の副作用といえば、髪の毛が抜けたり、吐き気や下痢が生じるなど、皆さんもよくご存じの定番のものがほとんどでした。ところが、この免疫チェックポイント阻害薬は、今までとは全く違う変わった副作用が出現してしまうことがわかってきました。このお薬がヒトの免疫反応を用いた治療であることから、それほど多いわけではありませんが、過度な免疫反応が原因と思われる多様な疾患や病態が生じ る場合があります(図)。これらの出現には特に注意が必要とされています。

図 免疫チェックポイント阻害剤の副作用

北海道大学病院腫瘍センター
化学療法部部長・診療教授

小松 嘉人

北海道大学病院腫瘍センター 化学療法部部長・診療教授 小松 嘉人近影

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