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健康情報誌「消化器のひろば」No.12

健康情報誌「消化器のひろば」No.12

消化器どうしました?Q&A

このコーナーでは、消化器の病気や健康に関する疑問や悩みについて、 専門医がわかりやすくお答えします。

Q. 家族に大腸がんが多い場合はどうしたらいいでしょうか?

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 全大腸がんの70%前後は、加齢や生活習慣,環境因子などの影響で大腸の正常な粘膜細胞に様々な遺伝子異常(遺伝子変異)が積み重なって発生すると考えられています。これらを散発性大腸がんと言います。一方、生まれながらにある遺伝子に異常があり、それが原因で大腸がんが発生することがあります。これを遺伝性大腸がんと言います。遺伝性大腸がんの頻度は全大腸がんの5%程度で、血縁者(親・兄弟姉妹・叔父・叔母・甥・姪など)に高頻度で大腸がんが発生します。原因は不明ですが、全大腸がんの20~30%では血縁者に複数の大腸がんが認められ、これは家族集積性大腸がんと呼ばれます。

 遺伝性大腸がんは、①若年で発症しやすい、②大腸がんを繰り返し発症しやすい、③大腸がん以外の悪性腫瘍も発症しやすい、などの特徴があります。50%の確率で親から子へと遺伝子異常が受け継がれていく優性(顕性)遺伝の場合が多く、大腸がんになるリスクは50%に満たないものからほぼ100%まで、疾患によって様々です。代表的な疾患として家族性大腸ポリポーシス(通常、大腸にポリープを100個以上認める)とリンチ症候群(大腸がんや子宮内膜、卵巣、胃、小腸、肝胆道系、腎盂・尿管がんなどの発症リスクが高まる)があげられます。遺伝性大腸がんの特徴を持った患者さんの場合は専門医を受診し、必要に応じて遺伝カウンセリングや遺伝子診断を受ける必要があります。遺伝性大腸がんは散発性大腸がんとは異なった専門的な医学的管理が必要だからです。なお、散発性大腸がんや家族集積性大腸がんの中には遺伝性大腸がんが含まれている可能性があることにも注意が必要です。

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<回答者>

埼玉医科大学総合医療センター
消化管・一般外科 教授

石田 秀行

埼玉医科大学総合医療センター 消化管・一般外科 教授 石田 秀行近影

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