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健康情報誌「消化器のひろば」No.12

健康情報誌「消化器のひろば」No.12

消化器どうしました?Q&A

このコーナーでは、消化器の病気や健康に関する疑問や悩みについて、 専門医がわかりやすくお答えします。

Q. 検査の正常値と異常値とは?

図

 患者さんが目にする検査結果の用紙にはよく「基準値」と記載されています。実は「正常値」という言葉は通称で、本来は「基準値」とされます。「基準値」は多くの健康な方の平均を示しているのみで、健康なのに基準値を外れる方を「異常」とするには問題があるためこのような言い方になっています(図)

 またその基準値は病院ごとで微妙に異なっています。検査室を自前で持つ大病院では特にそうです。なぜなら大病院では自動分析器で検査をしており、その検査機器や試薬は病院によってメーカー等が異なることも多く、同一検体でも病院間で完全に同じ値が出ることがないため、それぞれの病院では基準試薬を用い独自に範囲を設定します。それが微妙に異なっているのです。例をあげると肝機能を診るうえで大事な指標であるALT(GPT)は、低く設定している施設では20IU/ml台であるのに、高い施設では40IU/ml を超える場合も見られます。別の例では糖尿病の診断で非常に大事なヘモグロビンA1c(HbA1c)は測定方法が大きく分けて2種類存在し、基準試薬ではある程度同じ結果が出るのですが、実際の臨床ではEIA 法という測定方法で測られた結果が0.1~0.2%程度低く出ることが多いようです。測定誤差も加味すると病院間で最大0.4%近く差が出ることもあり、特に一生懸命糖尿病の治療をされている患者さんにとっては一大事です。

 臨床検査医学会もこの状況をなくすために統一した共用基準の採用を促したり、メーカーも差をなくす努力は続けていますが、本来の「正常値」は健康なときの患者さん自身の結果が大事であるとご理解いただくことが大切です。

図 従来の治療薬選択とプレシジョンメディシン

<回答者>

岐阜市民病院
中央検査部(消化器内科)

内木 隆文

岐阜市民病院 中央検査部(消化器内科) 内木 隆文近影

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