一般のみなさまへ

健康情報誌「消化器のひろば」No.17-6

消化器どうしました?Q&Aこのコーナーでは、消化器の病気や健康に関する疑問や悩みについて、 専門医がわかりやすくお答えします。

Q. アルコールの適量とは?

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お酒は昔から今日に至るまで、嗜好品として人々の生活に密接に関わっています。我が国でも、ビールや発泡酒など度数の低い醸造酒から、日本酒やワイン・紹興酒などの中等度数の醸造酒、焼酎やウイスキー・ブランデーなど度数の高い蒸留酒と様々な種類のアルコール飲料が日常的に楽しまれています。少量の飲酒は健康に良いとも言われていますが、過剰飲酒は依存症のように精神・神経の異常を来すのみならず、消化器系を中心として様々な臓器に障害を引き起こすのは周知の事実です。特に多いのは肝臓病で、脂肪肝からアルコール性肝炎、肝硬変と進行し、さらには肝がんを発症することもあります。また、急性膵炎や慢性膵炎、膵がんの原因にもなりますし、食道がんも多く見られます。お酒は飲める人と飲めない人がいますが、これはアルコールの代謝酵素の一つであるアルデヒド脱水素酵素(ALDH)の酵素活性が高いか低いかが遺伝的に決まっているからです。日本人にはその中間(ヘテロ)型が比較的多く、飲酒すると顔が赤くなる人がそれに該当します。そのタイプの人でも、常習飲酒を続けると飲める量がだんだん増えますが、実は臓器障害が起きやすいので要注意です。また、一気飲みなど急激な短期間での大量飲酒を繰り返したり、あるいは同じ飲酒量でも度数の高いお酒を薄めずに飲み続けたりすると、障害を高めるリスクがあります。厚生労働省が「健康日本21」で推奨している日本人の節度ある適度な飲酒量は、1日あたり純エタノール換算で20g 以下(だいたい「ビール中ビン1本」「日本酒1合」「酎ハイ(7%)350mL 缶1本」「ワイングラス2杯」「ウイスキーダブル1杯」などに相当)になっています(図)。くれぐれも過剰飲酒にならないように気を付けましょう。

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<回答者>

順天堂大学大学院医学研究科
消化器内科学
教授

池嶋 健一

順天堂大学大学院医学研究科 消化器内科学 教授 池嶋 健一
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