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朝日新聞の記事に対する日本消化器病学会からの抗議声明

朝日新聞の記事に対する日本消化器病学会からの抗議声明

平成22年11月16日

財団法人日本消化器病学会
理事長 菅野 健太郎

平成22年10月15日、16日の朝日新聞「臨床試験中のがん治療ワクチン」記事は、東京大学医科学研究所で開発した「がんワクチン」を用いて同附属病院で行われた臨床試験に関して、「消化管出血」が、あたかも「がんワクチン」が原因であるかのように読者を誘導し、その「消化管出血」を他の病院に報告しなかったことを、「研究者の良心が問われる」として批判する内容となっている。
しかし、1)「日本消化器病学会発行のオンラインジャーナルに記載されている本件に関わる症例報告(Nagayama et al. Clin. J. Gastroenterol., Published on line: 25 September, 2010)からは、「がんワクチン」と「消化管出血」との間の因果関係は明確にされていないこと、2)報道された事例は、医科学研究所附属病院の単独施設での臨床試験であり、プロトコールも他施設とは異なるものであることから、必ずしも他施設に報告する必要のない臨床試験であったと考えられる。
一方、この記事は、本件とは全く異なる臨床治験としてがんワクチン治療を受けている全国のがん患者さんに無用な不安感を与えるだけでなく、今後の新たながんワクチン治療開発の臨床試験へのがん患者さんの参加を躊躇させるマイナス効果をもたらし、この種の臨床試験に悪影響を及ぼすことが懸念される。

消化器癌を含めた消化器疾患のより良い診療を最大の目的として設立され、活動を続けている日本消化器病学会としては、本学会雑誌掲載論文に関わる内容について、誤解を与える可能性のある記事を掲載し、新しいがん治療開発につながる臨床研究に悪影響を及ぼすことは容認できない。 速やかに以上の事実関係を明確に示した記事を掲載するとともに、ジャーナリズムの指導的立場にある新聞社としての責任を自覚し、今後の良識ある対応を強く求めるものである。

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