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健康情報誌「消化器のひろば」No.16

健康情報誌「消化器のひろば」No.16

消化器の検査 AIを使用した内視鏡診断

 最近、人工知能(AI)という言葉を耳にする機会が非常に多くなってきました。AIというと映画やアニメのロボットのように、人間と同じように思考・行動するようなものを想像される方も多いと思います。しかしそのようなAIの開発には現状ではほど遠く、人間のごく限られた一部の行動・作業を代わりに行えるようなものがようやく開発されてきたといった状況です。医療業界においても2000年代に入ってから、AIを画像解析と組み合わせ医師の診断をサポートする研究が盛んになってきました。

 このような背景から、我々は大腸内視鏡診断を支援するAIを開発してきました。2019年3月より「EndoBRAIN(エンドブレイン)」(図1)というAIソフトウェアとして市販され、内視鏡診療で使用できるようになっています。なお、現時点ではこれ以外に保険適用されている内視鏡AIソフトウェアはありません。患者さんの立場からするとなぜ大腸内視鏡診療にAIが必要か、イメージしにくいかもしれません。増加傾向の大腸がんを未然に防ぐためには、前がん病変である腫瘍性のポリープを切除する必要があります。しかし、発見されるポリープの約3割が、がん化のリスクのない非腫瘍性のポリープとされており、医師は発見したポリープを切除する必要があるのか、ないのかをその場で判断しなければなりません。腫瘍性ポリープと非腫瘍性のポリープの判断を高い精度で行うためには、専門的なトレーニングと十分な経験を積む必要がありました。

 このAIソフトウェアは、超拡大内視鏡という520倍の倍率で生きた細胞核を観察できる内視鏡と組み合わせて使用し、医師が撮影した画像をもとにポリープが腫瘍なのか非腫瘍なのか、つまり治療が必要なのかそうでないのかという判断を瞬時に出力します(図2)。これによって、医師はより確信を持って診断ができるようになり、不必要な治療や、本来切除すべきポリープを切除せず残してしまうようなことが減っていくことが期待されます。一方でAIはいつも正しいとは限りません。医師はAIの結果を参考にしながら、ともに診断していくことが必要です。

 このAIソフトウェアを用いた内視鏡はまだ十分普及しているわけではありません。この検査を受けるためには、本機器が導入されている医療施設で大腸内視鏡検査を受ける必要があります。皆さんが受診される病院にこの機器が導入されているかについては、各医療機関にお尋ねください。

画像提供:オリンパス株式会社

昭和大学横浜市北部病院
消化器センター
講師

三澤 将史

昭和大学横浜市北部病院 消化器センター 講師 三澤 将史近影

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