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健康情報誌「消化器のひろば」No.18

健康情報誌「消化器のひろば」No.18

FOCUS
地域医療と病院の統廃合の問題

社会構造の変化を見据えて
理想的な医療提供モデルを目指す

令和元年9月26日に、厚生労働省は再編が必要とされる424の公立・公的病院を名指しで公表しました。この発表の背景にあるのは、各自治体に任せておいたのでは遅々として進まぬ「地域医療構想」の実現に向けた国の決意を表すものと受け止めています。国は平成29年6月に「経済財政運営と改革の基本方針2017」を閣議決定し、その後も地域医療構想の実現に向けて段階的に、かつ診療実績データの分析に基づいて具体的に、公立・公的医療機関の医療機能の再編、病床等の適正化を促してきました。

「地域医療構想」とは、団塊世代全員が75歳以上になり、医療・介護の急増が見込まれる2025年を見据え、各都道府県が2016年度末までに策定した地域医療の将来像のことであり、具体的には効率的な医療提供体制を築くために、病床機能を「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」に区分し、過剰になるベッドは他の機能への転換や在宅医療への移行を進めるものです。

さらに再編・統合を財政面から後押しし、医療再編を加速化するために、全国に「重点支援区域」を指定しました。最初の指定が令和2年1月31日に発表された、宮城県の「仙南」「石巻・登米・気仙沼」の2区域を含む3県5区域でした。このような大きな変革の背景にあるのは、地域で急速に進む人口減少、超高齢化と少子化による社会構造の変化です。高齢者層を支える労働人口の急速な減少により、地方自治体の税収入が減少するため、高額を要する医療、特に急性期医療を集約化し、今後不足が予想される回復期以降の医療にシフトする狙いがあると考えています。

私が企業長を務める「みやぎ県南中核病院」(以下、当院)はまさに、この「重点支援区域」に全国でも真っ先に指定された仙南区域にある急性期医療の拠点病院です。宮城県には4つの医療圏がありますが、仙南医療圏の人口は16.8万人ほどで、当院が310床の自治体病院、車で20分ほど離れた白石市には308床の公立刈田綜合病院があります。これまで両病院は急性期医療で競合関係にあり、機能連携、診療再編が望まれてきました。当院は所在する大河原町を中心とする一市三町、公立刈田綜合病院は白石市を中心とする一市二町が経営母体ですが、いずれの自治体も市町村の貯金である財政調整基金が枯渇しつつあり、自治体病院の経営を支える財政基盤が脆弱化しています。医療再編をしなければならない本当の理由はこのあたりにあると考えています。

現在、当院への急性期医療の集約化と公立刈田綜合病院の199床への病院規模縮小(職員の削減、当院への移動を含む)および回復期機能への移行、そして両病院の強力な連携による経営改善を目指して具体化が進んでいます。病院職員の意識の違い、給与体系を含む労働環境の違いや地域住民の感情など様々な課題があり、これらを克服して仙南医療圏における将来の理想的医療提供モデルとなるべく努力しているところです。

みやぎ県南中核病院企業団
企業長

下瀬川 徹

下瀬川 徹 近影

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