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健康情報誌「消化器のひろば」No.18

健康情報誌「消化器のひろば」No.18

知っておきたい治療薬 膵炎の薬

膵炎の薬

膵臓ではデンプンを分解するアミラーゼ、脂肪を分解するリパーゼ、タンパク質を分解するトリプシンなどの消化酵素が作られます。これらを含む膵液が膵臓から十二指腸に出て、食物を消化します。大量飲酒などが原因で、タンパク質を分解する酵素が膵臓の中で誤って働くと膵臓自体が消化されてしまい、急性膵炎を引き起こします。急性膵炎を繰り返すうちに膵臓の細胞が消滅して線維に置き換わり、慢性膵炎に移行します。

急性膵炎と慢性膵炎の薬の違い

急性膵炎と慢性膵炎の薬の違い

急性膵炎の治療には炎症を抑える薬を用います。慢性膵炎の初期にも急性膵炎に準じた治療を行います。一方、慢性膵炎が進行して膵臓で作る消化酵素が減少すると消化不良を起こすようになるので、消化酵素を補充する治療が中心となります。

急性膵炎には、炎症を抑えるためにタンパク分解酵素阻害薬が用いられます。タンパク分解酵素阻害薬には注射薬と経口薬があります。注射薬としてガベキサートメシル酸、ナファモスタットメシル酸、ウリナスタチン(いずれも一般名)が使用されています。急性膵炎の極期や重症期には膵臓に刺激を与えないように経腸栄養剤で栄養を補給し、タンパク分解酵素阻害薬を点滴で開始し、食事開始後は経口薬に切り替えます。日本では一般的に施行される治療ですが、重症化の抑制や生命予後の改善に有用かは明確には証明されていません。

慢性的な炎症に対しては、タンパク分解酵素阻害薬の経口薬・カモスタットメシル酸が用いられます。慢性膵炎が進行すると、脂肪分解酵素であるリパーゼが最も早く働かなくなります。そのため脂肪便、体重減少、栄養失調などの症状が現れます。膵臓の消化酵素の代わりとなるのが膵消化酵素薬です。膵消化酵素薬には一般的な消化酵素薬と、膵臓の働きを代償する高力価膵消化酵素薬・パンクレリパーゼがあります。慢性膵炎が進行した段階では、脂肪を含む栄養をしっかり摂取し、同時にパンクレリパーゼを食直後に十分量を内服して低栄養にならないようにします。ゆっくり食事をする場合には食前、食中、食直後に分けて内服すると効果的です。

薬と食事の組み合わせにも注意

急性膵炎の治療には、炎症を抑えるためにタンパク分解酵素阻害薬が用いられます。慢性膵炎が進行した消化吸収不良には、高力価膵消化酵素薬が用いられます。消化吸収不良で栄養失調になると体力・免疫力ともに低下しますので、脂肪、タンパク質を十分に含む通常量の食事とともに、高力価膵消化酵素薬補充療法を併用することがポイントです。

図 日本消化器病学会ガイドラインHP から改変引用

東京女子医科大学
消化器内科学
教授

清水 京子

東京女子医科大学 消化器内科学 教授 清水 京子近影

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