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健康情報誌「消化器のひろば」No.18

健康情報誌「消化器のひろば」No.18

消化器どうしました?Q&A

このコーナーでは、消化器の病気や健康に関する疑問や悩みについて、 専門医がわかりやすくお答えします。

Q. 腸内フローラとは何ですか?

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腸内フローラという言葉はIntestinalfloraとして1915年に、その後、1977年に同義語として腸内マイクロバイオータという言葉が提唱され、欧米ではこちらが多く使われています。日本語では「腸内細菌叢」と言われ、糞便の細菌叢を意味していますが、これは糞便の約60%が腸内細菌で構成されているからです。

従来、腸内細菌はビタミンB12、Kなどのビタミン、アミノ酸、短鎖脂肪酸を産生し、腸管の分化や免疫力の亢進、病原体の排除など、人体に有用な共生菌と考えられてきました。しかし、最近の遺伝子解析による腸内フローラの研究により、特定の腸内細菌が増加し、構成菌種の多様性が減少し、健常人と菌叢が異なってきている「ディスバイオシス」の状態になると種々の病気になることがわかってきました。すなわち、この「ディスバイオシス」が潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患をはじめ、過敏性腸症候群、非アルコール性脂肪性肝炎、大腸がんなどの消化器疾患、糖尿病や肥満、動脈硬化、尿毒症、アレルギー、慢性関節リウマチなどや、多発性硬化症やパーキンソン病、さらに自閉症やうつ病の主因であると言われてきています(図)。

これに対して、抗菌薬の投与、低脂肪・高繊維食といった食事、乳酸菌、ビフィズス菌などのプロバイオティクスの投与や糞便移植などによって、異常になった腸内フローラを改善させようと様々な新規治療法が開発されつつあります。

図

<回答者>

順天堂大学大学院腸内フローラ講座 特任教授
東京慈恵会医科大学附属柏病院 消化器・肝臓内科 客員教授

大草 敏史

大草 敏史近影

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