一般のみなさまへ

健康情報誌「消化器のひろば」No.22-7

消化器どうしました?Q&Aこのコーナーでは、消化器の病気や健康に関する疑問や悩みについて、 専門医がわかりやすくお答えします。

Q. サルコペニアの予防法を教えてください。

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 サルコペニアとは筋力と筋肉量が通常より低下している状態です。消化器病の患者さん、特に脂肪肝や肝硬変など肝臓病の患者さんはサルコペニアになりやすいと言われています。サルコペニアになると転びやすくなるだけでなく、肝臓病にも悪影響をおよぼすため、予防することが重要です。

 サルコペニアを予防するために大切なものは適度な運動です。特に、レジスタンス運動(筋力トレーニング)はサルコペニアの予防に有効です。レジスタンス運動とは筋肉に負荷をかける動作を繰り返すものです。椅子に座った状態からゆっくりと立ち上がり、再びゆっくりと椅子に腰掛けることを繰り返す運動(図)などは下肢筋力の維持に有効です。ただし、痛み・動悸・息切れなどの症状がある方、通院中の方は運動を開始する前に担当医に確認をお願いします。

 食事への気配りもサルコペニアの予防に欠かせません。1日3食きちんと食べ、飲酒を控えることはもちろん、食事のバランスも考える必要があります。筋肉の維持に必要なタンパク質を豊富に含む肉、魚、大豆や卵を適度に摂ることが重要です。また、肝硬変の方は体内で合成できない分岐鎖アミノ酸を補充することも重要です。加えて、運動時のエネルギー源となる炭水化物や、筋肉の維持をサポートするビタミンB6、カルシウムやビタミンDなどを含む野菜やキノコ類を摂ることも大切です。このように、主食、主菜、副菜が揃った食事を心がけることがサルコペニアの予防に欠かせません。

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<回答者>

久留米大学医学部
内科学講座 消化器内科部門 教授

川口 巧

久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門 教授 川口巧 近影
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