一般のみなさまへ

健康情報誌「消化器のひろば」No.23-7

消化器どうしました?Q&Aこのコーナーでは、消化器の病気や健康に関する疑問や悩みについて、 専門医がわかりやすくお答えします。

Q. 脂肪肝といわれました。どうしたらいいですか?

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 脂肪肝の原因は飲酒、肥満、糖尿病などのメタボ疾患、薬物(ホルモン剤やリウマチ薬など)、内分泌疾患などがあります。飲酒の多い方は禁酒で改善します。C型肝炎、B型肝炎、自己免疫性肝疾患が除外でき、飲酒量が1合 /日未満であれば非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD:ナッフルディー)と診断します。国内には約2,200万人ものNAFLD患者さんが存在し、その多くは肝硬変や肝がんへ進行しませんが、心血管疾患の合併には注意が必要です。NAFLDの一部は肝線維化が進行(肝臓が固くなる)して肝硬変や肝がんに進行します。肝線維化の進行度を見極めることが重要で、まずはFIB-4インデックス(年齢、血小板数、AST,ALTの入力で日本肝臓学会ホームページ上で算出可能 https://medical.eisai.jp/region/alimentary/fib-4/calculator.html)を測定します。1.3未満なら2~3年ごとにFIB-4を測定し、2.67以上ならただちに肝臓専門医を受診します。FIB-4が中間値(1.3~2.67)ならエラストグラフィ(フィブロスキャン)という機器で検査します。受診される施設がエラストグラフィを保有しない場合は肝線維化マーカー(4型コラーゲン7S, Mac-2結合蛋白)を測定します。肝線維化が高度な場合、定期的に腹部超音波検査やCT/MRIで肝がんの有無を検査します。

 NAFLDの治療は肝線維化が全くないかごく軽度であればライフスタイルの改善を促しますが、肝線維化が中等度以上になると糖尿病や脂質異常症の治療、ビタミンEなどの薬物療法を行います。治療には10%以上の体重減少も必要となり、現在のところ薬物療法で科学的に立証されたものはありません。特に糖尿病のある方、肝硬変や肝がんを患ったご親類がいる方、閉経後の肥満女性は肝線維化進行のリスクが高く、脂肪肝と診断されたら消化器病専門医の受診を勧めます。


 

<回答者>

国際医療福祉大学大学院
医療マネジメント科 教授

角田 圭雄

国際医療福祉大学大学院 医療マネジメント科 教授 角田 圭雄 近影
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