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健康情報誌「消化器のひろば」No.28-5

食道はのど(咽喉頭)と胃の間にあり、筒のような形をしています。食べ物を飲み込む(嚥下)と食道に上から下に伝わる収縮(1次蠕動波)が生じて胃へと運ばれます。また、食道と胃の境界(食道胃接合部)は通常閉まっていて、胃酸が食道に逆流しないように働いていますが、飲み込んだときには食道胃接合部が一時的に開いて(弛緩して)食べ物が胃に入ります。この一連の食道運動に異常が見られる疾患が食道運動障害です。また、胃酸を含む胃内容物が食道に逆流して食道がただれ、不快な症状が見られる疾患が胃食道逆流症です。

食道運動障害で最も有名な疾患である食道アカラシアは、食道の収縮がなくなり、嚥下に伴う食道胃接合部の弛緩も障害されますが、食道の収縮と食道胃接合部の弛緩のどちらかだけ障害される、食道に異常な収縮が見られるなど、食道アカラシア以外にも様々なタイプの運動障害があります。こうした食道運動障害は食道の動きを調べる検査(食道内圧検査)を行って診断します。高解像度食道内圧検査では、1cm間隔で圧力を測るセンサーをつけた細長い管(カテーテル)を鼻から胃まで挿入し、患者さんが水を飲んだ時の食道の圧を測定して食道の収縮や食道胃接合部のゆるみを評価します(図)

胃食道逆流は食道内に酸性・アルカリ性を調べるpHセンサーを留置して調べます。食道は通常中性ですが、胃酸を含む胃内容物が食道内に逆流すると食道のpHが低下して酸性になるため、胃食道逆流を検出できます。健常人でも胃食道逆流は起こりますが、胃食道逆流症の患者さんでは逆流回数が多く、食道内が酸性になる時間が長くなります。pHだけでは中性やアルカリ性の逆流を調べられないのですが、pHに加えて電気抵抗を調べることにより酸性以外の逆流も調べられるようになりました。また、検査中に生じた症状も調べることで、症状と逆流現象との関連性も調べることができ、詳細な病態を評価することができるようになっています。

食道運動障害や胃食道逆流症は上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)では十分に病態を評価できないことがあり、これら機能検査を行うことで、正確に病態を把握して適切な治療を選択することができます。


 

群馬大学大学院医学系研究科
消化器・肝臓内科学 病院講師
栗林 志行

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