機能性ディスペプシア(FD)

患者さんとご家族のためのガイド

機能性ディスペプシア(FD)ガイドQ&A機能性ディスペプシアについてお話しします。

Q4 FDはどうすれば診断できるのですか?どんな検査をするのでしょうか?

FDは「腹部症状が慢性的に続いているにもかかわらず、症状の原因となる異常が見つからない病気」です。
すなわち、胃の痛みや胃もたれなどの自覚症状があることと、胃がんや胃潰瘍などの病気が内視鏡検査などで見つからない場合に診断されます。「腹部症状」とは、胃の痛みや胃もたれに代表される症状で、患者さんによってさまざまな言葉で表現されます。専門的には食後のもたれ感、早期飽満感(食事開始後すぐにお腹がいっぱいに感じられ、それ以上は食べられなくなること)、心窩部痛、心窩部灼熱感(みぞおちの焼けるような感じ)などに分類されます。このような症状が慢性的に生じている場合にFDと診断します。実際の診療では、医師は腹部症状がいつごろからどの程度起こっているか、症状と食事の関係はあるか、体重減少はあるか、などの質問をします。そして多くの場合、
胃がん、胃潰瘍・十二指腸潰瘍などの疾患を除外するための胃の内視鏡検査、ピロリ菌感染の検査、必要に応じて血液検査や超音波検査、腹部CT検査などを行います。

Q5 FDの治療はどうするのでしょうか?

FDの症状が出るには、主に2つの原因が考えられています。一つは、胃のはたらきの異常を症状として感じる場合、もう一つは、普通の胃のはたらきを敏感に感じて症状が出る場合です。後者は患者さんがストレスなどによりさまざまな刺激に対して敏感となっていることによって起こります。そこで、FDの治療もこれらに対応する2通りの方法が考えられます。すなわち、 一つは胃で起こっている異常を改善する方法、もう一つは敏感になっている状態を改善する方法です。
胃のはたらきの異常を引き起こす刺激は胃の動きと胃酸が代表的です。胃は食事をとると胃壁の緊張が緩んで広がることでより多くの食べ物を溜め、その後に食物を十二指腸へ送り出します。この一連の動きがうまくいかないと、お腹が張った感じ(膨満感)や痛みなどの症状が起こります。それを改善するのが、消化管運動機能改善薬です。また、胃酸が分泌されることで痛みが起きたり、十二指腸にたくさんの胃酸が流れ込むことで吐き気が起こったりします。この胃酸の分泌を抑えるのが酸分泌抑制薬です。
消化管運動機能改善薬と酸分泌抑制薬にFD症状の改善効果があることは、日本のみならず世界中の多くの報告から明らかになっています。

一方、脳が敏感な状態となっていることを抑えるのは難しいのですが、一部の抗不安薬や抗うつ薬にFD症状の改善効果があることが示されています。また、漢方薬のなかには胃の動きを改善したり食欲を増す作用などによってFD症状を改善するものがあることが示されています。しかしながら、これらの方法には十分な裏づけがあるとはいえないのが現状です。これらより、日本では
FDの治療薬として消化管運動機能改善薬と酸分泌抑制薬が第一選択薬として推奨され、抗不安薬や抗うつ薬、漢方薬がその次に推奨されています。
ただし、いずれの薬剤もその効果には個人差があり、服用した患者さんの半数ぐらいにしか効果があらわれないといわれています。患者さんと医師とで相談しながら、どのお薬が合うのかを試したり、ときには作用の異なるお薬を併用するなどして治療を行います。
一度は内視鏡検査を受けられること、また、ピロリ菌感染がある場合には、除菌治療を受けられることをお勧めします。

Q6 FDの治療で一般的に注意することはありますか?

FD治療の第一歩は、FDについて詳しく理解している医師のサポートを受けることです。医師あるいは周囲の医療スタッフに対する信頼感をもって治療にのぞむことで、よりよい治療効果を得ることができます。
とくに主治医との信頼関係はFD治療にとって大切なポイントです。
FDの患者さんでは、睡眠不足、不規則な食生活やかたよった食事内容など、生活習慣や食習慣が乱れていることがあり、これらを改善することによって症状が改善する場合があります。また、カロリーが高く脂肪の多い食事によって、胃もたれや胃の痛みを引き起こすことがあるため、高カロリー脂肪食を避けることでも症状が軽くなることが期待されます。生活習慣、食習慣の改善はさまざまな病気で治療の基本とされていますが、FDも例外ではありません。お薬を内服するだけでなく、これらのことにも気をつけていただければと思います。

Q7 FDは治る病気なのでしょうか?ほかの病気を合併することもありますか?

FDは、治療して症状がなくなった後、数ヵ月のあいだに5人に1人くらいが再発するといわれています。
残念ながら、再発を予防する方法やどのような人が再発するかは、まだはっきりとはわかっていません。仕事や学業などの環境因子や季節性など、症状が出るきっかけとなるストレスが明らかになっている患者さんでは、それらのストレスとなる原因をできるだけ少なくする、あるいは受け止め方を変えるなどの予防策をとることをお勧めします。
FDの症状が出るには、さまざまな心理社会的な要因が関与しているといわれ、不安やうつなどの気分障害や神経症性障害をしばしば伴います。また、FD患者さんの25~50%に胃食道逆流症(胸やけや呑酸(すっぱい胃内容物が口の中まで上がってくること))、過敏性腸症候群(下痢や便秘を伴うお腹の張りや痛み)、慢性便秘などが合併するといわれています。
また、FDと診断される患者さんのなかには胆嚢や膵臓の病気が隠れている場合もあります。必要に応じてQ4にお示ししたような詳しい検査を行います。

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