胃食道逆流症(GERD)

患者さんとご家族のためのガイド

胃食道逆流症(GERD)ガイドQ&A胃食道逆流症(GERD)についてお話しします。

胃食道逆流症(GERD)

Q4 胃食道逆流症はどうすれば診断できるのでしょうか?
どんな検査をするのでしょうか?

胃食道逆流症の診断

胃食道逆流症は、Q1で示した自覚症状と上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)により診断されます。自覚症状があり内視鏡検査で逆流性食道炎(びらん性胃食道逆流症)を認めれば間違いなく胃食道逆流症です。なかには逆流性食道炎はあるけれども自覚症状のない人、自覚症状はあるけれども逆流性食道炎のない人(非びらん性胃食道逆流症)もいます。これらはすべて胃食道逆流症と診断されます。
典型的な症状は胸やけと呑酸ですが、まれに胃のムカムカ感や重い感じなどを胸やけと表現してしまう場合も見受けられます。自覚症状から診断する際には、記入式の専用の問診票がありますので、詳しくはかかりつけの医師にご相談ください。
内視鏡検査は必ずしも必要ありませんが、消化性潰瘍や胃がんなどの他の病気ではないことを確認するためにも、なるべく検査を受けることが望ましいです。検査を受けずに薬をもらって治療しても症状が完全によくならないときは、他の病気である可能性があるため、必ず内視鏡検査を受けるようにしてください。
また、内視鏡検査を受けた後にお薬をもらってきちんと飲んでも症状が続く場合には、食道運動障害、知覚過敏による胃酸以外の逆流による症状、好酸球性食道炎といわれる特殊な食道炎の場合があるため、医師とご相談のうえ専門の病院で精密検査を受けるようにしましょう。

Q5 胃食道逆流症になったとき、日常生活で気をつけることはありますか?

食道の下部には胃の内容物の逆流を防ぐための機能がありますが、日ごろの生活における動作や食事のなかにこの機能を低下させるものがあり、それらを続けていると胃食道逆流症の症状があらわれたり、さらに悪化したりしてしまいます。具体的には、生活面で避けたほうがよいものとして、①腹部の締め付け、②重い物を持つ、③前かがみの姿勢、④右を下にして寝る(右側臥位)、⑤肥満、⑥喫煙などがあげられます。また、食事面で避けたほうがよいこととしては、①食べ過ぎ、②就寝前の食事、③高脂肪食、④甘いものなどの高浸透圧食、⑤アルコール、⑥チョコレート、⑦コーヒー、⑧炭酸飲料、⑨みかんなどの柑橘類、⑩症状を引き起こすその他の食事などがあげられます(Q9参照)。これらの生活習慣や食生活をあらためることでどの程度症状の改善につながるかは個人差がありますが、なかでもとくに改善効果が高いことがわかっているものは、肥満の解消(体重減少)と上半身をやや起き上がらせて寝る姿勢(頭側挙上)です。
生活習慣・食生活の改善を図っても症状がよくならない場合には、お薬を併用するとよくなることが多いので、かかりつけの医師とよくご相談ください。

GERD症状の改善効果がある生活習慣

Q6 お薬による治療にはどんなものがあるでしょうか?

胃食道逆流症に対する治療では、胃酸の分泌を抑えるお薬が有効で、プロトンポンプ阻害薬(PPI)がよく使われます。わが国では、従来のPPIと比較してより強く酸分泌を抑えるとされるカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)が使われることもあります。また、そのほかに酸を中和したり、粘膜を保護するお薬や、胃の内容物の逆流を抑えるためのお薬(消化管運動改善薬や漢方薬)が一緒に使われることもあります。

  • 胃酸の分泌を抑える薬
    PPIが標準薬として用いられます。8週間の内服で多くの患者さんの自覚症状は改善し、食道炎(食道粘膜のただれ)を治すことができます。
  • 酸を中和したり、酸による刺激を弱める薬
    制酸薬、アルギン酸塩などがあります。服用後速やかに効果がみられますが、効きめは20〜30分程度で、症状出現時に補助的に使われることが一般的です。
  • 消化管運動改善薬、漢方薬(六君子湯)
    PPI単独で効果が十分でない場合に一緒に使われることがあります。
    胃食道逆流症と診断されたら、まずPPIを4~8週間程度服用します(これを初期治療といいます)。自覚症状や食道炎(食道粘膜のただれ)が消失しない患者さんではPPIの量を増やしたり、別のPPIへ変更したり、消化管運動改善薬や漢方薬(六君子湯)を一緒に使ってさらに治療を行う場合もあります。
お薬による治療

自覚症状や食道炎が改善した後にさらにお薬を続けるかどうかは、患者さんごとに判断します。自覚症状や食道炎が軽い患者さんでは、日常生活に気をつけるだけで不快な症状なく過ごせる場合もあり、このような場合にはお薬は不要です。一方、食道炎の程度が強かった患者さんでは、お薬をやめることで食道狭窄、バレット食道、食道腺がんなどにつながる可能性もあり、症状が改善してもお薬を続けることが勧められます(これを維持療法といいます)。食道炎が軽い患者さんでも、お薬をやめることで不快な症状が再び出現する場合には維持療法を考慮します。
最近では、患者さん自身の判断で、症状が出た時点あるいは症状が出そうと感じた時点でお薬を飲み始めて、よくなったら中止するという「オンデマンド療法」という服用方法も考えられています。主治医とよくご相談のうえ、ご自身に合ったお薬の飲み方をしてください。

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