胃食道逆流症(GERD)

患者さんとご家族のためのガイド

胃食道逆流症(GERD)ガイドQ&A胃食道逆流症(GERD)についてお話しします。

胃食道逆流症(GERD)

Q7 手術が必要になることはありますか?

胃食道逆流症の治療では、お薬による治療で効果が得られない場合、長期の服用が必要となる場合、大きな食道裂孔ヘルニア(Q3参照)のある場合などで手術が必要となる場合があります。胃食道逆流症は胃の内容物、とくに消化液の食道への逆流により生じるため、手術ではその逆流を防ぐための手術が行われます。具体的には、多くの患者さんで食道裂孔ヘルニアを伴っているため、まずはその修復を行い、次いで胃で食道の下部を包み込む「噴門形成術」を行います。これらの手術は胃からの逆流を防ぎつつ、反対に食道から胃への食物通過を妨げないようにしなければならないため、熟練した外科医により行われます。近年では、開腹手術に比べて患者さんの体の負担が少ない腹腔鏡手術が用いられるようになりました。
手術治療は逆流を防止するうえで効果的な治療法で、その治療効果も持続するため、お薬を長期にわたって服薬することで症状が消失している場合でも、患者さんの希望があれば手術を選択することもできます。お薬による治療で効果が得られない患者さんでは、症状の原因が本当に逆流症状によるものなのかきちんと調べることが大切です。
お薬による治療も手術治療も、いずれも患者さんの生活の質(QOL)を改善することが目的です。実際に手術を行うかは、手術の効果と手術のリスク(年齢や併存している病気など)や病気の重さなどを考慮して判断する必要があります。内科の主治医と外科の専門家とよくご相談ください。

胃食道逆流症に対する逆流防止手術

胃食道逆流症に対する逆流防止手術

食道裂孔ヘルニア(a)により胸隔内に入った胃を腹腔内に戻して、ヘルニアの修復を行い、開大した食道裂孔を閉じます(b)。そして、胃を食道に巻き付けますが、全周性に緩く巻き付ける方法(c)と、後ろ側のみとする方法(d)があります。

Q8 胃食道逆流症は治る病気なのでしょうか? ほかの病気を合併することもありますか?

胃食道逆流症と一口にいっても、食道炎(食道粘膜のただれ)の程度によりその重症度は異なります。大きく分けて、①まったく食道炎がないタイプ(非びらん性胃食道逆流症)、②ただれの具合がそれほど重くない軽症の食道炎、③食道がぐるりと(全周性に)ただれているような重症の食道炎までさまざまです(Q1参照)。一般的には、胃食道逆流症には胃酸分泌抑制薬による内服治療が一番に行われます。重症型の場合はお薬を服用しないと、食道炎が悪化して出血したり食道が狭くなったり(狭窄)するので、お薬を継続する必要があります。一方、それ以外の①②のタイプでは、通常重症型に悪化することはなく、なかには自然に治る人がいることもわかっていますので、胸やけ症状があるときだけお薬を服用(オンデマンド療法、Q6参照)すればよい場合もあると考えられています。
胃食道逆流症の患者さんでは、食道以外の症状が出現することもあり、注意が必要です。具体的には、胃食道逆流症が原因となって、胸痛、慢性的なせき発作、ぜんそく、慢性的なのどの炎症、のどの上部(喉頭)のポリープ、睡眠障害などが起こることがあるといわれています。したがって、これらの胃食道逆流症以外の病気と診断された場合でも、その原因に胃食道逆流症があるかもしれませんのでご注意ください。
一方、びらん性食道炎と診断された場合に、その原因となっている他の病気について調べることも大切です。たとえば、女性で重症型の逆流性食道炎がある人では、膠原病が背景にある場合があります。また、中年男性の場合は肥満が食道炎の原因になっていることが多く見られます。高齢女性では骨粗鬆症のために円背(背中が丸く曲がってしまった状態)となり、胃を含むお腹が圧迫されて逆流性食道炎になる可能性もあります。

軽症型逆流性食道炎105例における平均5.5年間の内視鏡的経過

Q9 胃食道逆流症を予防するにはどうしたらよいのでしょうか?

Q1、Q2でお示ししたように、日本では食生活の欧米化によって胃食道逆流症の患者さんが増加傾向にあります。このため、予防のためには食生活などの生活習慣に気をつけることが大切です。
胸やけを起こしやすくする食事要因として、食べ過ぎ、就寝前の食事、高脂肪食、アルコール、チョコレート、コーヒー、炭酸飲料、みかんなどの柑橘類、その他の症状を引き起こす食事などがあります(Q5参照)。これらによって、胃酸の分泌が多くなったり、胃と食道のつなぎ目が緩みやすくなるため、食道へ胃酸が逆流しやすくなります。また、ご飯を勢いよく一気に食べたり、食事やアルコールをたくさんとることでも胸やけが起こりやすくなります。このほか、喫煙は多くの病気に関わっていますが、胸やけも起こしやすくするといわれています。
胃食道逆流症を起こす要因はそれぞれの患者さんで異なりますが、以上のような食生活、生活習慣が胃食道逆流症と関係があることがわかっているため、これらを避けたり注意することが予防につながると考えられます。

胃食道逆流症の予防

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