消化性潰瘍

患者さんとご家族のためのガイド

消化性潰瘍ガイドQ&A消化性潰瘍についてお話しします。

消化性潰瘍

Q4 消化性潰瘍はどうすれば診断できるのでしょうか?
どんな検査をするのでしょうか?

診断・検査方法イラスト

腹痛などの症状から消化性潰瘍が疑われたら、まず内視鏡検査やバリウム検査(X線造影検査)により潰瘍があるかを確認します。最近は内視鏡検査を行うほうが多く、とくに出血が疑われる場合は緊急に内視鏡検査を行い、必要に応じて止血処置を行います。
内視鏡検査には、口から入れる内視鏡(経口内視鏡)のほか、近年は鼻から入れる細い内視鏡(経鼻内視鏡)が普及しています。経口内視鏡に比べて経鼻内視鏡はのどの奥のほうに触れることがないため嘔吐反射が少なく、患者さんの負担は軽いといわれています。ただし、経鼻内視鏡では止血処置はできません。
検査前12時間以上は絶食(水、お茶は可)とし、問診の後、のどあるいは鼻の局所麻酔をして、内視鏡を挿入し、潰瘍の有無などを診断します。なお、内視鏡検査では病変部位から組織の一部を採取して、顕微鏡による病理診断を行って良性・悪性(がん)の確認を行うこともできます。
X線造影検査は、バリウム(造影剤)を飲んで体を動かすことによって胃壁にバリウムを付着させ、胃壁の凹凸をX線により描出することで調べる検査法です。潰瘍により粘膜が欠損してくぼんだ部位にバリウムが入り込むことで確認できます。

診断・検査方法写真

Q5 ピロリ菌感染はどうすれば診断できるのでしょうか? 除菌がうまくいったことを診断するにはどうすればよいのですか?

ヘリコバクター・ピロリ菌の感染による「ピロリ感染胃炎」の診断には、内視鏡検査やバリウム検査(X線造影検査)を行います。通常は内視鏡検査によりピロリ感染胃炎であることを診断し、その後、ピロリ菌感染の診断を行うのが一般的です。
ピロリ菌感染の診断にはいくつかの方法があります。患者さんの負担が軽い方法(非侵襲的検査法)としては、抗体検査(尿または血液中のピロリ菌に対する抗体を測る検査)、尿素呼気試験(ピロリ菌が持つウレアーゼという酵素の働きを呼気で調べる検査)、便中抗原検査があります。一方、内視鏡検査での診断法(組織採取を行うことから侵襲的検査法と呼ばれています)としてウレアーゼ試験(ウレアーゼのはたらきを生検組織の入った試験液の変化で判断する)、培養検査、顕微鏡検査があります。また、保険診療の適用外ですが、血液中のペプシノゲン(蛋白質を分解する消化酵素ペプシンの前駆物質)を調べるのも診断に有用です。
除菌前の感染診断には、血液や尿の抗体検査や内視鏡によるウレアーゼ試験が便利です。ウレアーゼ試験は内視鏡による組織採取を行うため、採取する部位によっては正確な診断が得られない場合があります。尿素呼気試験や便中抗原検査はより正しく診断可能な検査ですが、検査方法がやや煩雑という難点があります。簡便性においては抗体検査が優れていますが、尿素呼気試験や便中抗原検査に比べ正確性が落ちます。
除菌後の評価を行う際は、尿素呼気試験や便中抗原検査が有用です。これらは除菌治療から4週間以上(できれば2~3ヵ月)経ってから行います。また、血液の抗体検査でも確認できますが、こちらは除菌治療から6ヵ月以上経ってから行い、除菌前の数値と比較することで除菌が成功したかを判定します。

ピロリ菌の感染診断法と特徴

Q6 消化性潰瘍の治療はどうするのでしょうか?

消化性潰瘍の基本的な治療は内服薬による治療です。胃酸の分泌を抑えたり、胃粘膜の防御機能を高める薬が用いられます。通常、薬を飲み始めてから6~8週間で潰瘍は治癒しますが、暴飲暴食を避けるなどの食事上の注意や、喫煙やアルコールを控える、ストレス解消に努めるなど、日常生活全般の改善を図ることも忘れないようにしましょう。
ヘリコバクター・ピロリ菌に感染していると、消化性潰瘍がいったん治っても再発しやすいこと、がんの原因になることなどが知られています。このため、ピロリ菌が見つかった場合には、適切なタイミングで除菌治療を受けることをお勧めします。また、他の病気の治療のために投与される非ステロイド性抗炎症薬やアスピリンなどは、消化性潰瘍の原因になりえますので、なるべくやめたほうがよいでしょう。主治医とよく相談されることをお勧めします。
最近はかなり減りましたが、消化性潰瘍の合併症には穿孔(潰瘍が深くなって胃や十二指腸の壁に穴があいてしまうことで、腹膜炎を発症します)や吐血などがあります。これらはいずれも命に関わるため、早急に処置を行う必要があります。穿孔の場合は手術が必要となることが多く、一方、吐血の場合は内視鏡により止血処置ができることが多いです。

消化性潰瘍の治療

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