慢性膵炎

患者さんとご家族のためのガイド

慢性膵炎ガイドQ&A慢性膵炎についてお話しします。

慢性膵炎

Q7 慢性膵炎は治る病気なのでしょうか?進行したらどうなるのでしょうか?

慢性膵炎は、膵臓の細胞が線維組織に置き換わる病気で、徐々に進行してゆき基本的には治ることはありません。そのため、慢性膵炎をわるくする要因をできるだけ少なくして進行しないように気をつけることが大切です。
慢性膵炎では初期の段階からお腹や背中の痛みが出現することが多いです。経過のなかではこの痛みが一番つらい症状です。飲酒や脂肪のとりすぎにより痛みは強くなり、痛みが長く続けば続くほど、慢性膵炎は進行します。進行を遅らせるには、痛みが出ないような日常生活、断酒や禁煙を心がけ、食生活にも気を配ることが大切です。
慢性膵炎は進行すると、痛み以外の症状も出てきます。まず膵臓で分泌されている消化酵素の量が減り、消化する力が弱まり、やがて下痢や脂肪便(便器の中に油が浮くような便)がみられるようになります。栄養を十分に吸収できなくなることで、しばしば体重減少もみられます。さらに進行すると、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが出なくなり、糖尿病が発症します。この段階まで進むと痛みはかえってなくなることが多いのですが、膵臓の機能自体が果たされなくなり、さまざまな不具合が出てきます。また、慢性膵炎が進行すると膵臓がんになる確率が増加します。一般的に慢性膵炎は5~15年の時間をかけて、少しずつ進行していきます。少し痛みがあるくらいの初期の段階で進行しないように気をつければ、膵臓の機能が保たれ、膵臓がんを発症する危険も少なくなります。気をつけてほしい9つのことを守りましょう。

慢性膵炎になった後の注意点

Q8 お酒をやめるにはどうすればよいのでしょうか? 喫煙も影響しますか?

一般に、アルコールが原因の慢性膵炎となる患者さんはアルコール依存症であることが多いため、お酒の量を調節する「節酒」を長い間続けることはきわめて難しいといわれています。そのため、ご家族とともに専門医療機関を受診し、お酒により慢性膵炎が進行してしまうことを正しく理解して、今後1滴もお酒を飲まない「断酒」を決意することが重要です。
アルコール依存性が強いときには、ベンゾジアゼピン系薬を内服します。このお薬は断酒を始めたころにいあらわれる禁断症状をやわらげるはたらきがあります。また、少しお酒を飲むだけで気分がわるくなるはたらきをもつ抗酒薬や、お酒を飲みたい気持ちそのものを抑える断酒補助薬を必要に応じて用いて、断酒の継続に努めます。医療機関へ定期的に通院すること、さらに断酒会などのグループへ参加することも断酒支援に有効です。
せっかく治療を受けて断酒を始めても、お酒を飲みたい気持ちに勝てず再びお酒を飲んでしまう人は少なくありません。国内の調査結果では、断酒を継続できるのは治療開始から2~3年で3割程度、5年以降では2~3割とされています。再びお酒を飲んでしまった場合には、ご家族、主治医とともにそれまでの治療状況や再飲酒までの期間などを振り返り、もう一度治療を始めて、根気よく継続していくことが大切です。
一方、喫煙も慢性膵炎の発症や病気の進行を早めてしまうことがわかっています。喫煙者では慢性膵炎がより早くから発症し、また膵石や糖尿病などの合併症もより早期に出現することから、慢性膵炎の治療には禁煙も重要と考えられています。喫煙者の70%はニコチン依存症といわれており、禁煙治療は専門医療機関においてニコチン製剤やニコチン離脱症状をやわらげる薬剤を用いながら進めるとよいでしょう。

断酒継続治療の3本の矢

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