胆石症

患者さんとご家族のためのガイド

胆石症ガイドQ&A胆石症についてお話しします。

胆石症

Q5 胆石症の治療はどうするのでしょうか?

胆のう摘出術胆石症のうち痛みなどの明らかな症状がないものを「無症状胆石」といいますが、その場合は治療を行わずに定期的に経過を観察します。胆のう結石は、お腹の痛みなどの症状がある場合には手術による治療が原則です。胆石の手術は、胆石だけを取り除いても再発することが多く、再手術になってしまうことから、基本的に胆のうごと取り出します。胆のうを取り除く手術は全身麻酔下で行います。以前は開腹手術が行われていましたが、1990年以降、腹腔鏡下胆のう摘出術が導入され、第一選択となっています。この治療法は傷口が小さく、術後の痛みが少ないため、日常生活への復帰が早いことが特徴です。しかし、炎症などによる胆のうの癒着、あるいは胆のうがんの合併が疑われる場合など、腹腔鏡での手術が難しい場合は開腹手術となります。傷口は大きくなりますが、直接手で触れながら治療できるので安全性に優れています。手術以外にも胆石の状態などによっていくつかの治療法があります。
コレステロール石では、胆汁酸製剤(ウルソデオキシコール酸)の溶解効果が認められており、石の大きさが15mm以下・石灰化のないコレステロール石で胆のうの動き(収縮機能)が正常な場合に適応となります。1年間内服を続けると24~38%程度溶解に成功しますが、そのまま放置すると60%ぐらいの患者さんで再発します。このため溶けた後も胆汁酸製剤の内服を続ける必要があります。
体の外から衝撃波を胆石に照射して胆石を砕く方法もあり、これを体外衝撃波胆石破砕療法(ESWL)といいます。単発(結節が1つ)・直径20mm以下・石灰化のないコレステロール石で胆のうの収縮機能が正常な場合、1年後の消失率は60~90%です。しかし、10年間で60%ぐらい再発します。ESWLは治療に時間がかかるという問題点もあります。

内視鏡的胆管胆石除去術胆管内の胆石は放置しておくと胆管の出口(十二指腸乳頭部)に詰まって胆管炎を生じます。症状として寒気を伴う発熱、腹痛、黄疸などがあげられます。重症化することがあるので無症状でも治療をします。治療法は大きく分けて内視鏡的な方法と外科的な方法があります。胆管炎で体の具合がわるい場合には負担の少ない内視鏡を使って胆汁が流れるようにチューブステントなどを胆管に留置する方法が選択されます。胆管結石を内視鏡で取り出すには十二指腸乳頭部を切開するかバルーンで拡張してからバスケットカテーテル(胆石を取り出す専用の器具)などで除去します。また、外科的な方法には開腹手術、腹腔鏡下手術があります。また、炎症が強いときには胆のうに管を入れて感染した胆汁を抜くこともあります。どの治療法を行うかは、胆管結石の大きさや数、胆のう結石合併の有無、患者さんの状態などで異なりますので、専門医とよく相談してください。

Q6 胆石症は治る病気なのでしょうか?
ほかの病気を合併することもありますか?

胆のう結石の治療として胆のうを取り除いた場合には、通常はそれで胆石症は治ります。しかし、手術のあとに術前と同じような症状が続いたり、術前になかったお腹の症状が出現することがあり、これを「胆のう摘出後症候群」といいます。また、胆管に胆石が残っていたり、新たに胆石ができることもあります。胆のう結石を治療したあとは通院の必要はありませんが、気になることがあれば受診をお勧めします。
胆管結石は、治療したあとも再発することがあります。とくに、胆のう結石を治療していない場合には胆のうの胆石が胆管に落ちてきたり、また胆石の再発などに伴って、胆管に炎症が生じて(胆管炎)発熱や黄疸、痛みといった症状が出たりします。胆のうが残っている場合には胆のうに炎症を生じる(胆のう炎)こともあります。胆管結石を治療したあとは、通常の健康診断の際には、一般検査に加えて、腹部超音波検査を行うことをお勧めします。
肝内結石は、ほかの胆石症と比べて治療が難しく、再発やさまざまな合併症が起こります。胆管結石と同様に胆管炎を起こすこともあります。さらに胆石の再発や胆管炎を繰り返すと、胆管のさまざまな部位が細くなり、胆汁の流れが滞るようになります(胆汁うっ滞)。そうなると肝臓は次第に硬くなり肝硬変の状態となり、肝臓の働きがわるくなります。また、肝内結石がある患者さんには肝臓の中の胆管から発生するがん(肝内胆管がん)が多く起こります。治療後しばらく(数年~10年以上)経ってからがんができることもあるため、肝内結石の治療を受けたあとも定期的な通院が必要です。採血検査、腹部超音波検査、CT、MRCPなどの検査を必要に応じ受けることが重要です。

胆道痛の治療

Q7 胆石症を予防するにはどうしたらよいのでしょうか?

胆石のリスク因子としては女性、肥満、急激な減量、妊娠回数の増加などが指摘されています。胆石は生活習慣と密接に関連し、生活習慣からみた胆石形成、胆石発作の予防では、過食・暴飲暴食を避けることが重要です。食事の面からはコレステロールの制限、脂質の適量摂取、蛋白質・食物繊維の摂取による便秘の予防、規則的な食生活、胃酸の過剰分泌を引き起こすアルコール飲料・香辛料などの過度の摂取の制限があげられます。

胆石症の一次予防:胆石の形成を未然に防ぐ目的

  • 生活習慣病:肥満、糖尿病、脂質異常などに気をつけましょう。とくに、女性は40歳代になると、女性ホルモンが減少し、コレステロールの代謝がわるくなり、肥満傾向になり、胆石ができやすくなります。また、日本では男性の胆石人口が増加しています。
  • 肥満:肥満はコレステロール合成の増加、胆汁へのコレステロール分泌の増加、コレステロール過飽和胆汁の産生による胆石症のリスク因子とされています。
  • 規則正しい食生活習慣:朝食からきちんと食事をとって規則正しい食生活に努めましょう。過剰なダイエットは胆石の誘因となります。適度な食事を規則正しくとり、無理のない適度な運動をし、ストレスを解消するのも大切です。
  • 食事を見直しましょう。
    1)コレステロールの多い食物(とくに、肉・魚の“きも”)は避けましょう。
    2)脂肪(とくに動物性)が多く含まれるものは避けましょう。青魚(タウリン、EPA(エイコサペンタエン酸エステル)などを含む)は多くとりましょう。
    3)糖分(精製された砂糖など)のとり過ぎには注意しましょう。
    4)食べ過ぎ、カロリーのとり過ぎに注意しましょう。
    5)肉や魚、豆腐といった高蛋白の食品を積極的にとりましょう。
    6)ビタミンCを果物・野菜からしっかり摂取しましょう。
    7)食物繊維(とくに水溶性食物繊維)はコレステロールの吸収を抑えたり、コレステロールを含んだ胆汁を排泄させる働きがあり、胆石を予防します。
    8)水分を十分に摂取し、便秘にならないようにしましょう。
    9)適度のアルコールやコーヒーは胆石形成を抑制する作用があります。過度のアルコール(肥満の原因となるほか、胃酸分泌を亢進させ胆のう収縮を起こす)やコーヒーは逆効果ですので注意しましょう。何ごとも適度が肝心です。

胆石症の二次予防:胆石ができた場合に症状をコントロールする目的

  • 適度のコーヒーは有症状の胆石の発症が低いとの報告があります。
  • 暴飲暴食に注意しましょう。
    胆汁酸製剤による溶解療法が適応となる無症状の胆石ではウルソデオキシコール酸は一つの選択肢になります。
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