このコーナーでは、消化器の病気や健康に関する疑問や悩みについて、 専門医がわかりやすくお答えします。
Q. クローン病の肛門病変の特徴を教えてください

クローン病は、消化管に炎症が起こり、潰瘍ができる病気です。肛門にも潰瘍ができやすく、日本では大人のクローン病患者さんの約半分が、診断時にすでに肛門病変を持っています。代表的な病変は、潰瘍部から細いトンネルができて皮膚につながる「痔ろう」や膿がたまる「肛門周囲膿瘍」です。クローン病に伴う痔ろうは、一般的な痔ろうに比べて、トンネルが複雑で数が多かったり、枝分かれしていたりすることがあり、治りにくい場合が少なくありません。炎症を繰り返すことで、肛門が狭くなる「狭窄」や、女性ではまれに肛門と膣がトンネル状につながる「膣ろう」を生じることもあります。そのため、早めの受診と適切な治療がとても大切です。
クローン病の肛門病変は、状態によって治療法が異なります。肛門にできた潰瘍に対しては、クローン病そのものを抑える薬による治療を行います。一方、痔ろうや膿瘍がある場合には、クローン病の薬に加えて外科治療が必要になることがあります。膿を出すだけで良くなる場合もありますが、通常の痔ろうのようにトンネルを切り取る手術は、肛門の筋肉を広く傷つけ、便が漏れやすくなる可能性があるため、あまり行われません。そのため多くの場合、「シートン法」という、糸やチューブをトンネルに通して膿を体外に出し続け、炎症を落ち着かせる治療が選ばれます(図)。
肛門病変が長期間にわたって炎症をくり返すと、まれですが肛門やその周囲に「がん」ができることがあります。進行するまで気づきにくいことが多いため、症状が安定していても定期的な診察が大切です。また、痛みや分泌物、出血が増えるなど、症状の変化を感じた場合には、早めに医師に相談してください。

