このコーナーでは、消化器の病気や健康に関する疑問や悩みについて、 専門医がわかりやすくお答えします。
Q. 食物繊維はどのくらい摂取するのがよいですか?

食物繊維は、「ヒトの消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分」と定義されています。タンパク質、脂質、糖質などの栄養素は小腸に存在する消化酵素により消化・吸収されるのに対し、食物繊維は消化酵素の影響を受けずに小腸を通過して大腸に達します。食物繊維は水溶性と不溶性に分類されますが、表に示したように、果物、野菜、穀類、キノコ、こんにゃくいもなどの芋・でんぷん類に多く含まれています(表)。
大腸に達した不溶性食物繊維は、便のかさを増すことで排便をスムーズにし、ダイオキシンや水銀などの有害物質を吸着する効果があります。水溶性食物繊維は糖質の吸収をおさえて血糖の上昇を抑制し、血中コレステロールを低下させる効果があります。また、一部の食物繊維は、大腸内に存在する腸内細菌の働きにより短鎖脂肪酸となります。生成された短鎖脂肪酸には、様々な生体にとって有益な作用があります。
このように、食物繊維の摂取は健康増進に有益だと考えられているのですが、実際には摂取が不足しがちです。「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、1日あたり成人の男性で22g以上、女性で18g以上の摂取が生活習慣病予防の観点から望ましいとされていますが、実際の日本人の平均摂取量はこれに達していないとされています。表を参考にして、食物繊維を多く含む食品の摂取を心がけてください。

