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健康情報誌「消化器のひろば」No.29-8

消化器どうしました?Q&Aこのコーナーでは、消化器の病気や健康に関する疑問や悩みについて、 専門医がわかりやすくお答えします。

Q. 脂肪肝を治す薬はありますか?

 これまで肥満や糖尿病などの生活習慣病と関連する脂肪肝「MASLD(マッスルディー)」の治療は、食事療法や運動療法による減量が中心で、「MASLD」そのものに対して承認されている薬はありませんでした。

 しかし2026年6月にセマグルチドという薬が、脂肪肝が進行して炎症や線維化(肝臓の傷あと)を伴う「MASH(マッシュ)」に対する治療薬として、日本で承認されました。セマグルチドは、週に1回、皮下に自己注射をするタイプの薬です。

 セマグルチドは食欲を抑えて体重を減らしやすくする薬で、臨床試験では肝臓の炎症や線維化を改善する効果も示しました。そのため、将来的に肝硬変や肝がんの予防につながることが期待されています。

 ただし、この薬は脂肪肝の患者さん全員が使えるわけではありません。肝硬変ではなく、一定以上の肝臓の線維化があるMASHの患者さんが対象になります。そのため、消化器病専門医や肝臓専門医による適切な診断や治療が必要です。診断には肝臓の線維化の程度を調べるために、専門医の判断で、血液検査に加え超音波検査やMRI検査、肝生検などが行われます。この薬の服用時には、吐き気、下痢、便秘などの副作用があらわれることがあります。

 脂肪肝を治す新しい薬の登場は大きな前進ですが、「薬を使えば完全に治る病気」になったわけではありません。脂肪肝の治療の基本はこれからも生活習慣の改善であり、食事や運動などの生活習慣改善を続けることが今後も大切です。


 

<回答者>

佐賀大学医学部
肝臓・糖尿病・内分泌内科 教授

高橋 宏和

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