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健康情報誌「消化器のひろば」No.29-4

消化器病の薬

レミマゾラム

内視鏡検査を楽に受けていただくために用いられる「鎮静薬」。その一つであるレミマゾラムは、2025年6月に日本で初めて「消化器内視鏡診療時の鎮静」として正式に保険が適用される薬となりました。患者さんにも医師にも安心をもたらす新しい選択肢として期待されています。

 大腸や胃の内視鏡検査は、早期のがんや病気を見つけるためにとても大切な検査です。しかし「苦しそう」「怖い」という不安から、受けることをためらう方も少なくありません。そこで、検査中の苦痛や不安をやわらげるために用いられるのが鎮静薬です。鎮静薬を使うと、うとうと眠ったような状態で検査を受けられるため、身体的・精神的な負担を大きく減らすことができます。

 これまで日本で鎮静薬として用いられてきた薬の多くは、もともと手術の全身麻酔や不眠症の治療薬として承認されたもので、「内視鏡検査のための鎮静」という使い方では正式には認められていませんでした。こうした中2025年6月に、レミマゾラムが日本で初めて「消化器内視鏡診療時の鎮静」としての保険適用を取得し、この領域で唯一、正式に認められた鎮静薬となりました。検査を受ける患者さんはもちろん、医療を担う側にとっても大きな意味を持つ出来事と言えます。

 レミマゾラムは、効き始めが早く、体から消えていくのも早いという特徴を持ちます。国内で行われた臨床試験では、胃の内視鏡で約92%、大腸の内視鏡で約95%という高い割合で十分な鎮静が得られたと報告されています。検査終了後は多くの方が10分ほどで歩けるようになり、心臓や呼吸への負担が比較的少ないため、ご高齢の方にも安心して使えることが確認されています。

 また、効きすぎた場合には、働きを打ち消すフルマゼニルという拮抗薬を使うことができます。レミマゾラムはこの拮抗薬と作用時間の相性が良く、検査の後に再び眠気が戻ってしまうリスクが少ない点も安心材料の一つです。

 ただし、鎮静薬を使った検査の後は、しばらくの間、車や自転車の運転、大切な判断を伴う用事は避けていただく必要があります。安全に検査を受けていただくため、ご家族に送迎をお願いするなど、医師の指示をしっかり守っていただくことが大切です。


 

北里大学医学部
消化器内科学 診療教授
池原 久朝

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