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健康情報誌「消化器のひろば」No.29-3

膵臓がんは、初期には症状が出にくく、見つかったときには進行していることも少なくありません。一方で、リスクの高い人に注意し、必要な検査につなげることで、早期発見が期待できます。早い段階で見つけることができれば、手術により根治(完全に治すこと)する可能性があります。

 膵臓は、胃の背中側にある細長い臓器です。食べ物の消化を助ける膵液を十二指腸へ分泌する働きと、血糖を調節するインスリンなどのホルモンを血液中へ分泌する働きを担っています。膵臓がんはこの膵臓にできるがんで、近年、高齢化や生活習慣の変化などを背景に、患者さんが増えている病気の一つです。

 膵臓がんに注意を要する理由は、早い段階では自覚症状がほとんどないことです。膵臓がんの初発症状として、みぞおちや背中の痛み、食欲低下、体重減少、黄疸(皮膚や白目が黄色くなること)などが知られています。しかし、この症状は膵臓がんに特有のものではなく、しばらく様子を見てしまうことも少なくありません。そのため、膵臓がんの早期発見を目指すには、症状だけに頼らず、リスクのある方を適切な検査につなげることが大切です。

 膵臓がんは、生活習慣や持病、家族歴と関係することがわかってきました。生活習慣では、喫煙や飲酒がリスクとして知られています。これらは慢性膵炎の原因にもなるので注意が必要です。また慢性膵炎、膵のう胞、肥満、糖尿病のある方では、膵臓がんのリスクが高くなるとされています。特に、これまで糖尿病ではなかった方が急に糖尿病を指摘されたり、もともとの糖尿病が急に悪化したりすることが、膵臓がん発見のきっかけになる場合もあります。さらに、親子・兄弟姉妹など血縁のご家族に膵臓がんの方がいる場合にも注意が必要です。

 危険因子に加え、症状や血液検査、腹部超音波検査などから膵臓がんが疑われる場合には精密検査を行います。造影CT、MRI、超音波内視鏡などの画像検査により膵臓の腫瘍や膵管(膵液の通り道)の異常がないかを詳しく調べ、必要に応じて内視鏡検査を用いた組織検査により診断を確定します。最近では、膵臓の一部が痩せてしまう限局性萎縮や膵管の拡張など、早期の膵臓がんに伴う変化が明らかになってきました。

 膵臓がんは治療が難しいがんですが、早い段階で見つかれば、手術により根治する可能性があります。気になる症状があるときや、リスクが高いと言われたときには、そのままにせず、かかりつけ医や消化器専門医に相談することが大切です。膵臓がんの早期発見には、症状を見逃さないこと、リスクを知ること、そして必要な方が適切な検査を受けることが重要です。


 

神戸大学大学院医学系研究科 内科学講座
消化器内科学分野 教授

児玉 裕三

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