脂肪性肝疾患の日本語病名に関して
欧州肝臓学会(EASL)は米国肝臓病学会(AASLD),ラテンアメリカ肝疾患研究協会(ALEH)と合同で,脂肪性肝疾患の病名と分類法を変更することを,2023年6月24日に発表しました [1]。日本消化器病学会,日本肝臓学会もこの変更に賛同し,その旨を同年9月29日に両学会のホームページに発表しました。
日本語での新たな病名に関しては,日本消化器病学会のNAFLD/NASH診療ガイドライン作成委員会と日本肝臓学会の企画広報委員会が合同で検討を続けてきましたが,以下のように決定して,これを両学会の理事会も承認しました。これらの日本語病名は,両学会の案として日本医学会に提出し,医学用語管理委員会でも承認されました。
なお,MASLD,MetALD,ALDの診断に際して利用する心血管イベントのリスク因子基準およびアルコール摂取量に関しては,わが国におけるメタボリック症候群ないしアルコール性肝障害の基準とは異なる部分があります。その整合性をどうするかに関しては,日本消化器病学会のNAFLD/NASH診療ガイドライン作成委員会と日本肝臓学会の企画広報委員会が合同で検討を続けていますので,結果がまとまり次第,会員の皆さんにはご報告いたします。
<日本語病名>
- Steatotic Liver Disease(SLD):脂肪性肝疾患
- Metabolic Dysfunction Associated Steatotic Liver Disease(MASLD):代謝機能障害関連脂肪性肝疾患
- Metabolic Dysfunction Associated Steatohepatitis(MASH):代謝機能障害関連脂肪肝炎
- Alcohol Associated (Related) Liver Disease(ALD):アルコール関連肝疾患
- MetALD:代謝機能障害アルコール関連肝疾患
- Cryptogenic Steatotic Liver Disease:成因不明脂肪性肝疾患
- Specific Aetiology Steatotic Liver Disease:特定成因脂肪性肝疾患
2024年8月22日
一般財団法人日本消化器病学会
理事長 持田 智